改正建設業法及び入札契約適正化法案が成立しましたね。来年は民法改正(債権)も控えていますので、建設業をとりまく法務関係の対応が忙しくなり、またコンプライアンス重視の流れが加速するかと思います。
国交省HP
http://www.mlit.go.jp/policy/file000003.html
建設業法の改正点を「法律案要綱」に沿って記載していきます。
(⇒は私の感想です)
1.許可基準の見直し
建設業の許可基準のうち、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者をおくこととする基準を、建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合することに改めるものとすること。
⇒5年もしくは6年経営に携わってきた、というハードルが撤去されることになりました(代わりにどのような条件が付くのか注目です)。
2.許可を受けた地位の承継
建設業の譲渡及び譲受並びに合併及び分割の際に、あらかじめ国土交通大臣等の認可を受けたときは、譲受人等は建設業許可を受けた地位を承継するものとすること。建設業者が死亡した場合において、国土交通大臣等の認可を受けたときは、相続人は建設業許可を受けた地位を承継するものとすること。
⇒M&Aや相続の際に業許可がスムーズに受け継がれるようにし事業継承を促していこうとしていますね。
3.請負契約における書面の記載事項の追加
建設工事の請負契約における書面の記載事項に、工事を施工しない日または時間帯の定めに関する事項等を追加するものとすること。
⇒週休二日制への移行を促そうとしていますね。
4.著しく短い工期の禁止
注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならないものとすること。国土交通大臣は発注者が上記に違反した場合において特に必要があると認めるときは、当該発注者に対して勧告することができるものとし、その者が当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができるものとすること。
⇒請負人いじめ、へのけん制ですね。
5.工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供
注文者は、契約を締結するまでに、建設業者に対して、その発生のおそれがあると認めるときは、工期又は請負代金の額に影響を及ぼす事象に関する情報を提供しなければならないものとすること。
⇒こちらも請負人の保護をしようとしていますね。
6.下請代金の支払い方法
元請負人は、下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならないものとすること。
⇒下請人の労働環境を改善しようとしていますね。
7.不利益な取り扱いの禁止
元請負人は、その違反行為について下請負人が国土交通大臣等に通報したことを理由として、当該下請負人に対して、取引の停止その他の不利益な取り扱いをしてはならないものとすること。
⇒記載のとおりですね(なかなか難しいことですが)。
8.建設工事従事者の知識及び技術又は技能の向上
建設工事に従事する者は、建設工事を適正に実施するために必要な知識及び技術又は技能の向上に努めなければならないものとすること。
⇒内容は今わかりませんが生産性の向上でしょうね。
9.監理技術者の専任義務の緩和
工事現場に監理技術者を置くべき建設工事について、当該監理技術者の職務を補佐する者としてこれに準ずる者を専任で置く場合には、当該監理技術者の専任を要しないものとすること。
⇒新たに設けられる「監理技術補」を置くことで複数の現場を受け持つことができるようになります。現場の生産性向上をしつつ若手の育成にも繋げようとしていますね。
10.主任技術者の配置義務の合理化
特定の建設工事につき、元請負人が工事現場で専任で置く主任技術者が下請負人が置くべき主任技術者の職務を併せて行うことができることとしこの場合において、当該下請負人は、主任技術者の配置を要しないものとすること。
⇒9と同様に現場の生産性向上と小規模事業者の負担軽減につなげようとしていますね。
11.技術検定制度の見直し (省略)
12.復旧工事の円滑かつ迅速な実施を図るための建設業者団体の責務 (省略)
13.工期に関する基準の作成等 (省略)
14.標識の掲示義務の緩和 (省略)
15.建設資材製造業者等に対する勧告及び命令等
国土交通大臣等は、建設業者等に指示をする場合において、当該指示に係る違反行為が建設資材に起因するものであると認められるときは、これを引き渡した建設資材製造業者等に対しても、再発防止のため適当な措置を取るべきことを勧告することができるものとすること。
国土交通大臣等は、上記の勧告を受けた者が当該勧告に従わないときはその旨を公表し、又は当該勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。
⇒施工不良の責任を資材メーカーまで追求することで、品質の向上、生産性の向上を促そうとしていますね。
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