将来にわたって建設業界の担い手を確保していくために建設業法ほか関連法が改正されました。建設業は統計的に他産業に比べて労働時間が長くまた、勤務シフトが天候や工事現場の進捗状況に左右されやすくて不安定です。
官民あげての働き方改革が業界全体で求められています。具体策の一つは「現場に配置する技術者の要件緩和」です。
監理技術者補という資格を新設して監理技術者正の複数現場の兼務を可能にし、同時に若手技術者の実務経験を促進したり、元請会社が実務経験豊富な配置技術者により、下請会社が技術者の配置を省略出来たりする制度です。
その他の具体例は「経営業務管理責任者の要件緩和」です。建設業許可業者に必要な経営業務管理責任者に求められる要件は個人の経営レベルの経験に紐づいたものであるため、経営層の世代交代や業界への新規参入の際にこれを阻害する要因となっていました。今後は組織全体で要件を満たせられるような選択肢も用意される制度に変わります。
また併せて社会保険への加入も建設業許可の維持や取得の必須条件として加えられる見込みです。
実際に関わらせていただくと、若年者といわれる35歳未満の担い手の割合が少なく感じていますので新しい制度の浸透に期待をしたいと思います。そのほか、以下に改正点を列挙してみます。
1.工期に関する基準の作成等(建設業法第34条関係)
2.著しく短い工期の禁止(建設業法第19条の5及び第19条の6関係)
3.建設工事の工期の見積もり(建設業法第20条関係)
4.入札契約適正化指針の記載事項の追加(入契法第17条関係)
5.受注者の違反行為に関する事実の通知(入契法第11条関係)
6.請負契約における書面の記載事項の追加(建設業法第19条関係)
7.工期等に影響を及ぼす事象に関する情報提供(建設業法第20条の2関係)
8.下請代金の支払い方法(建設業法第24条の3関係)
9.建設工事従事者の知識及び技術又は技能の向上(建設業法第25条の27関係)
10. 監理技術者の専任義務の緩和(建設業法第26条関係)
11.主任技術者の配置義務の合理化(建設業法第26条の3関係)
12.技術検定制度の見直し(建設業法第27条関係)
13.建設資材製造業者等に対する勧告及び命令等(建設業法第41条の2関係)
14.建設業許可の基準の見直し(建設業法第7条関係)
15.承継規定の整備(建設業法第17条の2、第17条の3関係)
16.不利益な取り扱いの禁止(建設業法第24条の5関係)
17.建設業者団体の責務(建設業法第27条の40関係)
18.標識の掲示義務の緩和(建設業法第40条関係)
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