転職者の外国籍の方の入社検討時に注意する点について

厚生労働省の2020年9月4日現在の公表でも、新型コロナウイルス感染症拡大を起因とする解雇見込み労働者数は52,508人となっています。労働力の流動化がますます加速し、労働力が集中する事業者とそうでない事業者が存在すること、その格差が拡大することは容易に想像されます。

 

それでも日本に在留中の外国籍の方を雇用することに躊躇する企業様も多いことと思います。誰でも新しい試みをする際にリスクの程度を検討し、二の足を踏むものです。

 

このリスクの程度は、きちんと情報を収集し活用することで軽減できるものと思います。今回は、日本に在留中の外国籍の方の転職に焦点をあて、外国籍の方の雇用検討の一助になれば幸いと思います。

 

<コロナウイルス対策による特例措置で気を付ける点>

1.特定活動への変更は、現在の在留資格によって「就労できる場合」と「就労できない場合」があります。

(1)「特定活動(6ヶ月・就労可)」へ変更できる方

 

①技能実習生の場合

 ・実習先(雇用先)の経営悪化等により実習困難になった場合で、新たな実習先が見つからない場合

 ・本国への帰国が新型コロナウイルス感染症拡大の影響により困難な場合

 ・技能検定等の受検ができないため、次の段階に移行できない場合

 ・技能実習2号を良好に修了した方で「特定技能1号」への移行準備が整っていない場合(単に書類作成が間に合わない等は対象外です)

 

②特定技能の場合

 ・「特定技能」として在留中に、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い解雇等された方(基本的に自己都合退職は対象外です)

 

(2)留学の在留資格の場合

①卒業後も引き続き本邦内において就職活動を行うことを希望する場合(大学、高等専門学校、専修学校専門課程を卒業した留学生に限る。)で、「特定活動」へ変更し、資格外活動許可を受けた場合は、1週につき28時間以内のアルバイトが認められる。

 

②2020年に教育機関を卒業した方で、本国への帰国困難者の場合

・在留資格「特定活動(6か月)」への在留資格変更許可が可能。就労を希望する場合は、資格外活動許可を受けなくとも、1週につき28時間以内のアルバイトが認められる。

・2020年に教育機関を卒業した留学生で「留学」の在留資格を有し資格、外活動

の許可を受けている方で、本国への帰国が困難な場合は、卒業後であっても1週に

つき28時間以内のアルバイトが認められる。

 

上記以外の場合は、「特定活動」へ変更しても、変更申請中に就労することは困難なケースと考えられますのでお気を付けください。

 

 

<技術人文知識国際業務の転職で気を付けておくべき点>

①職務内容と履歴書記載の大学で専攻した内容との関連性をご確認ください。

②入国時に提出した雇用条件である月給・年収と今回更新時に提出する課税証明書に書かれている年収に矛盾点があるかご確認ください。

③健康保険(国保の場合)や都道府県市民税の納付等に未納があるかないか

 ※転職していない場合は、会社で支払っているかと思いますが、もしご本人が支払っている場合は注意が必要です。

④今お勤めの会社の直近の決算書で赤字である場合は注意が必要です。黒字に転換するための理由や赤字の特別な理由を示す必要があります。

⑤前職の退職理由

⑥前職と職種が変わっているかのご確認をお願いします。

 ※前職と職種が異なっていると許可されるケースは格段に難しくなります。

⑦届出義務「活動機関に関する届出」を果たしているか、ご確認をお願いします。

 ※届出義務を果たしていないと入管の担当者によっては理由提示が必要な場合があります。

 

新しく外国籍の方を雇用する方や、以前雇用する際に困った企業様も、基本的なことをおさえておけば優秀な外国籍の方を雇用する機会に恵まれるかもしれません。

 

外国籍の方をご検討の方は取次行政書士又は専門家へお問合せください。

 

 

行政書士 宇佐美陽

 

電話番号 053-545-9171

FAX番号 053-545-9176