ベトナム経済の動向と特定技能

 

先日の報道によると、東南アジア経済ではベトナムだけが国内総生産(GDP)のプラス成長を維持しており、一人勝ちとなっているようです。

 

新型コロナの感染拡大で各国がマイナスになるなか、ベトナムは4月の外出制限でウイルスの封じ込めに成功しました。成長の原動力は輸出の増加ですが、これは米中貿易摩擦の影響を避けるために多国籍企業が中国からベトナムに生産拠点を移管していることが主な要因となっているようです。

 

日本国内に目を向けますと、出入国在留管理庁が公表した統計(特定技能1号外国人)によれば、ベトナム国籍が全国で8,769人中5,341人と約60%を占めている状況です。次の中国が826人で9%ですので、圧倒的な多さを誇っています。ちなみに産業別では、飲食料品製造が36%、農業14%、外食9%という順になっており食べることに関する産業の需要が堅調であることを示していると思います。

 

技能実習の制度と異なり、特定技能1号で雇用する場合には、同じ程度の技能レベルを有する日本人社員と同額かそれ以上の待遇で契約をしなければなりません。在留資格の審査における重要なポイントの一つになっています。

 

ベトナムは2020年度中に名目GDPでシンガポール等を抜く見込みのようです。先日、人材会社の方が話す内容に「日本とのGDPの格差が10倍以上ないと、日本に出稼ぎに来る魅力が感じられなくなる」という意見がありました。国内経済が順調に成長しているベトナムから、さらにGDP格差の大きい国々へと技能実習、特定技能を利用する外国人が次第に変わっていくことが想像されます。