事業再構築補助金(続き)

事業再構築補助金について、先週、経済産業省より追加で資料が公表されましたので、気になる点をいくつか挙げてみてみます。

 

1.主要な申請の要件

「コロナの影響で売り上げが減少した」

 

資料では以下のように表現されています。

→申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している。

 

2019年1月~2020年3月までの15か月間の中から任意で3か月を選び出し、補助金を申請する前の6か月間の中から任意で選び出した3か月と比較して10%以上減少をしていれば良い、少し言い換えるとこういうことでしょうか。

 

「新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う」

 

肝心の事業再構築指針の詳細がまだ明らかになっていません。ものづくり補助金のように、新規性や革新性が求められるのか、既存事業との違いを産業分類で比較できれば良い程度なのか、あまり厳しくしてしまうと予算が中小零細企業に行きわたらないと思いますので、政府としても工夫のしどころだと思います。

 

資料の中では、以下のように表現されています。

・現在の企業の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性

・事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)

・事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法

・実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)

 

「付加価値額の増加を織り込んだ事業計画」

  

資料では次のように表現されています。補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加の達成を見込む事業計画を認定支援機関の協力を得て策定する。

 

 

付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものです。利益、人件費、減価償却費が増加する計画でないといけません。この基準が実際に満たされたかどうか、のチェックが補助事業が終了した後にされるのかどうか、これも今後の情報を待つところです。満たされていない場合には、補助金を返還してください、ということであれば、容易に手が出せないようになると思います。

 

2.加点の措置

 

 

通常枠の加点について、資料では以下のように表現されています。緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、 令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者

 

前述した申請要件に上乗せして、売り上げの減少度がさらに高い事業者は加点をするとしています。

 

このほかに加点があるのか、例えば経営革新の認定を受けているとか、これもやりようによっては売り上げの減少に苦しんでいる中小事業者の救済という意味が損なわれてしまう恐れがありますので、政府の工夫のしどころだと思います。

 

3.補助対象の経費

 

本補助金は、基本的に設備投資を支援するものです、と明らかに表現しています。反対に対象とならない経費を確認しておいたほうが良いと思います。

 

対象とならないもの

・補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費

・不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、家具等)

・販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費

  

 

以上ですが、3月の募集開始に向けてまた直ぐに資料が追加発表されると思いますので、以下のページから確認をしてみてください。

 

経済産業省ホームページ

https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html