残っている機能を磨く

 

東京パラリンピックが開催され、にわか“パラスポーツファン”になりました。

 

開会式直後に始まった水泳競技に浜松市出身の鈴木孝幸選手が出場していたことがパラリンピックに注目するきっかけになりました。

 

鈴木選手は両足と片手がほぼ無く、残った片腕にも指が5本揃っていません。その身体で水の中に飛び込むや、猛烈なスピードで水をかきぐいぐい進みます。

 

いまは水中の映像も良く見られますので、鈴木選手の全身が映されているのですが、泳ぐ勢いはまるで手足が揃っているかのような錯覚に陥るほどです。

 

鈴木選手のもう一つ印象的なところは、メダルを獲得した後のインタビューです。結果を出すことへの強い気迫を感じる反面、淡々と、冷静に話しています。

 

テレビの画面越しに映る、鈴木選手の表情や言葉の力強さに圧倒されました。これは出場選手の皆さんに感じることです。

 

実況中継でアナウンサーが度々「残っている機能を磨き上げてきた」という言葉で選手のこれまでのトレーニングの成果を表現しています。

 

どんな思いで今の競技に取り組み続けているのか?

 

私には想像もつかない葛藤のなかで、自分に残っている機能を磨く、という努力をコツコツと繰り返してきた過程が、モノを言っているのだと思います。