当時は私以外に事務所に5名スタッフがいて、司法書士担当が先輩と私の2名、土地家屋調査士の建物担当が1名、測量・行政担当が3名、土木設計担当が1名、という陣営でした。
行政書士部門は、農地転用など土地の関係の申請しか扱っていませんでしたので測量の担当者がそれを兼ねていました。
直属の上司は生真面目な方でしたが、他は飲む打つ買うが好きな方達でした。
平成の初め頃ですから、まだまだそういうことに大らかな時代です。
アフターファイブに色々と大人の遊びも教えていただきました。
先輩たちと親しくなるにつれ「ちょっと測量の現場を手伝ってよ」などと言われるようになりました。
普段は完全なデスクワーク、外出も法務局、市役所、銀行ぐらいなので、たまの現場作業が新鮮で、けっこう楽しんでやっていました。測量や土木設計の担当者の方の話も興味深く感じました。
土木・建築のモノづくりにより近い立ち位置に魅力を感じたのだと思います。
3年目ぐらいに建物担当の方が退職したため、私が代わりに担当になりました。
取引先の住宅会社・工務店さんとの書類のやり取りや連絡調整、お客さんとの連絡調整、司法書士業務への引継ぎ、法務局と現場の調査、書類作成に追われる、毎日忙しい日々になりました。
だんだんと事務所の業務全体・流れが見えてくるようになりました。
建物の担当者は、事務所では営業マンの役割も果たしていました。
住宅会社・工務店さんとの接点が多いので、ミスをして頭を下げに伺ったり、忘年会に呼んでいただいたりするのも役目でした。外部の方との交流のおかげで、土地建物に関わる業界全体での自分の立ち位置、というのも見えてきた頃です。
建物担当に慣れていく反面、やはり無資格で仕事をしていることの負い目を感じることが多くなっていきました。
営業マンとしての葛藤、組織の中での上司との葛藤など、たまに友人から聞く、もっと厳しい社会での経験と比べたら、私の日常など楽なものです。
その頃には司法書士の試験勉強に対する意欲は全く無くなってしまっていて、それなら「自分のキャリアを今後どうしていくか?」という問題に対しては目を背けて日々を過ごしていました。