その年の3月末で、お世話になった事務所を退職することが決まりました。
引継ぎのための資料も作りはしましたが、主たる取引先である、住宅会社や工務店さんとの窓口の役割は引き継ぐことは出来ませんでした。
事務所を浜松に構えよう、という方針が決まり、休日に物件を探しました。
自宅が袋井でしたので、通勤時間が長くならないように、東部のエリアで物件を探していました(ちょうど今の事務所のエリアです)。家賃ももちろん、リーズナブルなことが必須です。
場所が良くても、家賃を抑えると見栄えが気になってしまいます。
決定打がなくて困っている時に、信用金庫に勤めている友人から知らせが。
お客さんである大家さんの物件でおススメがあるとのことで、早速、紹介をしてもらうと、今までにないタイプの物件でした。
鉄筋コンクリート造、2~3階が単身者向け賃貸住宅で、1階が貸事務所です。
構造上は1階をぶち抜きで使えるものを、間仕切りで6畳ずつに仕切ってあり、トイレと給湯は共用という、浜松ではスモールオフィスの走りの物件でした。
新築に近く、家賃は4万円台とリーズナブル、自宅からは少し遠くなるけど、浜松駅南エリアで、市役所等の施設に10分程度でアクセスできる位置です。
通りに出れば、浜松のランドマーク、”アクトタワー”も目に入ります。
「ここで事務所を始めたい」という気持ちが湧き上がってきました。
さっそく大家さんにご挨拶をしに伺いました。
貸事務所は、大家さんにとって住宅とは違うリスクがあると思います。
職業柄、室内を汚すことはないですが、これから脱サラして始める、30歳そこそこの、どこの馬の骨とも分からない人間に貸すのです。
ひとりの商売人として、世間に認めていただくための第一歩です。
無事に大家さんの面談をクリアしたことで一気に現実味が増しました。
中古の”電話の権利”を買い(今の若い方には分からないですね)、リサイクルショップを回って机、いす、書棚などを集めました。パソコン・コピー機は友人が取り扱っていたので任せました。
自家用車も、スノボ仕様の四駆から軽ワゴンに買い換えました。
貯金と親からいただいた援助もこれでだいたい使い切りました。
後のエピソードにも出てくると思いますが、こちらの大家さんには、一般的な大家さんと店子の立場を超えて、大変にお世話になりました。
18年経過した今でも、当時の恩恵を脈々と頂いていると思います。
さて、行政書士として名乗り看板を出して商売をするには、試験に合格をするだけでなく、日本行政書士会連合会に”登録”されなければなりません。
これは行政書士として最重要課題ですので、さっそく着手しました。
準備作業をしている私にとって、ほかにも深刻な課題がありました。
何と、パソコンが苦手レベルを通り越して、両手を指さしポーズにして、キーボード見ながらポチポチ打つことしか出来ない状況だったのです。
自分で看板を出すことが見えてきて「これはヤバい」と焦りました。