経営事項審査の改正でW点の加点対象が変更になりました(令和5年1月施行)

〈※令和5年10月23日追記〉

 

令和5年1月に経審(経営事項審査)の改正がありました。今回の改正の趣旨は以下の3点です。

 

1.担い手の育成と確保

2.災害対応力の強化

3.環境への配慮

 

担い手の育成と確保については2つの項目があります。

(1)元請人のCCUS(建設キャリアアップシステム)の運用状況を評価する

(2)WLB(ワークライフバランス)制度の導入状況を評価する

 

災害対応力の強化については、これまで評価されていた建設機械のほかに、実際に災害の現場で活躍される複数の種類が追加されることになりました。環境への配慮については、ISO14000のほかに脱炭素社会への取り組みが評価されることになりました。それではもう少し詳しく見てきます。

 

1.担い手の育成と確保

(1)元請人の建設キャリアアップシステム(CCUS)導入状況

■直近事業年度に施工した、民間を含む元請の全ての建設工事において、CCUS上の現場登録及びカードリーダー設置等の就業履歴を蓄積をするために必要な措置を講じている

 →15点

 

■直近事業年度に施工した、元請の全ての公共工事において、CCUS上の現場登録及びカードリーダー設置等の就業履歴を蓄積をするために必要な措置を講じている

 →10点

 

「元請の全ての」が条件になっていますが、どうやって審査のプロセスで条件を満たしていることを確認するのか? に疑問を感じます。これについて国交省は「運用上は、要件に該当する旨の誓約書の提出と抽出の調査等による確認をもって加点することとしたい」と説明しています。

 建設キャリアアップシステムについてはこちら

 

 

(2)WLB(ワークライフバランス)制度の導入状況

■女性活躍推進法にもとづき「えるぼし認定」を受けていること

・プラチナえるぼし   5点

・えるぼし(3段階目) 4点

・えるぼし(2段階目) 3点

・えるぼし(1段階目) 2点

  えるぼし認定制度についてはこちら

 

■次世代育成支援対策推進法にもとづき「くるみん認定」を受けていること

・プラチナくるみん   4点

・くるみん       3点

 くるみん認定制度についてはこちら

  

■若者雇用促進法にもとづく「ユースエール認定」を受けていること

・ユースエール     4点

 ユースエール認定についてはこちら

 

なお複数の認定を受けている場合には、もっとも評価点が高い区分をひとつ選択することになります。

 

 

2.災害対応力の強化

今回、新たに加点の対象になる建設機械は次のとおりです。

 

1.ロードローラー、振動ローラー(安衛法施行令別表7第4号:締固め用機械)

2.解体用つかみ機、ブレーカ(安衛法施行令別表7第6号:解体用機械)

3.高所作業車(安衛法施行令13条第3項第34号)

4.最大積載量5トン未満のダンプ(土砂の運搬が可能なもの)

 

種類は増えますが、1台目が5点で最高で15点であることに変更はありません。

 

 

3.環境への配慮

ISO14000に加えて、エコアクション21の認証を受けていることが加点の対象になりました。ISO9000とISO14000は加点が5点でしたが、エコアクション21の加点は3点です。

 

計算式について

 

改正点はすべて社会性等(W点)に当てはまるものです。点はP点に対して約15%のウエイトを占めていますが、評価項目が増えることでウエイトが増えてしまうことを避けるため、W点の係数が変更となりました。

 

■審査基準日:令和5年8月13日以前

 

( W1 + W2 + W3 + W4 + W5 + W6 + W7 + W8 ) × (1,900 / 200)

 

■審査基準日:令和5年8月14日以降

 

( W1 + W2 + W3 + W4 + W5 + W6 + W7 + W8 ) × (1,750 / 200)

 

審査基準日が令和5年8月14日以降は下の計算式にて算出しますが、「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置」の加点がないと評点が下がってしまいます。

 

建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況とは、建設キャリアアップシステムの利用状況に関する項目です。審査対象工事で加点要件を満たす場合に加点がされます。

 

 

建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置について

以下の①~③を除く、審査基準日以前1年以内に発注者から直接請け負った建設工事が、審査対象工事になります。

 

① 日本国内以外の工事

② 施行令で定める軽微な工事

 1. 工事一件の請負代金の額が500万円

   (建築一式工事の場合は1,500万円)に満たない工事

 2. 建築一式工事のうち面積が150m²に満たない木造住宅を建設する工事

③ 災害応急工事

 1. 防災協定に基づく契約又は発注者の指示により実施された工事

 

加点要件

審査対象工事のうち、民間工事を含むすべての建設工事で該当措置を実施した場合:15点

審査対象工事のうち、全ての公共工事で該当措置を実施した場合:10点

※令和5年8月14日以降を審査基準日とする申請で適用

※審査基準日以前1年のうちに、審査対象工事を1件も発注者から直接請け負っていない場合は加点はされません。 

 

該当措置(下記すべてを実施している場合に加点)

・CCUS上での現場・契約情報の登録

・建設工事に従事する者が直接入力によらない方法でCCUS上に就業履歴を蓄積できる体制の整備

・経営事項審査申請時に様式第6号に掲げる誓約書の提出

※直接入力によらない方法:就業履歴データ登録標準API連携認定システムにより入退場履歴を記録できる措置を実施していること 等