
令和5年1月に施行される、建設業の経営事項審査(経審)の改正点について国土交通省が公表しています。
今回の改正の趣旨は次の3つがあります。
1.担い手の育成と確保
2.災害対応力の強化
3.環境への配慮
担い手の育成と確保については2つの項目があります。
(1)元請人のCCUS(建設キャリアアップシステム)の運用状況を評価する
(2)WLB(ワークライフバランス)制度の導入状況を評価する
災害対応力の強化については、これまで評価されていた建設機械のほかに、実際に災害の現場で活躍される複数の種類が追加されることになりました。環境への配慮については、ISO14000のほかに脱炭素社会への取り組みが評価されることになりました。それではもう少し詳しく見てきます。
1.担い手の育成と確保
(1)元請人の建設キャリアアップシステム(CCUS)導入状況

■直近事業年度に施工した、民間を含む元請の全ての建設工事において、CCUS上の現場登録及びカードリーダー設置等の就業履歴を蓄積をするために必要な措置を講じている
→15点
■直近事業年度に施工した、元請の全ての公共工事において、CCUS上の現場登録及びカードリーダー設置等の就業履歴を蓄積をするために必要な措置を講じている
→10点
「元請の全ての」が条件になっていますが、どうやって審査のプロセスで条件を満たしていることを確認するのか? に疑問を感じます。これについて国交省は「運用上は、要件に該当する旨の誓約書の提出と抽出の調査等による確認をもって加点することとしたい」と説明しています。
(2)WLB(ワークライフバランス)制度の導入状況

■女性活躍推進法にもとづき「えるぼし認定」を受けていること
・プラチナえるぼし 5点
・えるぼし(3段階目) 4点
・えるぼし(2段階目) 3点
・えるぼし(1段階目) 2点
■次世代育成支援対策推進法にもとづき「くるみん認定」を受けていること
・プラチナくるみん 4点
・くるみん 3点
■若者雇用促進法にもとづく「ユースエール認定」を受けていること
・ユースエール 4点
なお複数の認定を受けている場合には、もっとも評価点が高い区分をひとつ選択することになります。
2.災害対応力の強化
今回、新たに加点の対象になる建設機械は次のとおりです。
1.ロードローラー、振動ローラー(安衛法施行令別表7第4号:締固め用機械)
2.解体用つかみ機、ブレーカ(安衛法施行令別表7第6号:解体用機械)
3.高所作業車(安衛法施行令13条第3項第34号)
4.最大積載量5トン未満のダンプ(土砂の運搬が可能なもの)
種類は増えますが、1台目が5点で最高で15点であることに変更はありません。
3.環境への配慮

ISO14000に加えて、エコアクション21の認証を受けていることが加点の対象になりました。ISO9000とISO14000は加点が5点でしたが、エコアクション21は加点が3点になる見込みです。
まとめ
これまで見てきたとおり、改正点はすべて社会性等(W点)に当てはまるものです。
W点はP点に対して約15%のウエイトを占めていますが、評価項目が増えることで
ウエイトが増えてしまうことを避けるため、W点の係数が下げられる予定です。
結果的に、W点の項目ひとつずつの配点が小さくなりますので、このことも頭に
入れておいた方が良いです。