法人設立後1期~6期にかけては私の未熟さが原因で何度も失敗の経験をしました。同じ行政書士事務所の経営でも個人事業主とは違ったプレッシャーを感じていました。「法人を潰したくない」という執着に捉われ、言動を誤ること数知れずです。
設立後の6年間で役員含め8人が辞め、入管業務の支店は機能せず1年で撤退など、次々と起きる失敗にどう対処してよいかわからず、目の前に霧がかかっている感覚が数年続きました。
ほかにも台風で事務所の看板が崩壊、その後に駅前の再開発で立退きを迫られました。またも運よくいまの事務所に移転ができて良かったですが。
一昨年、人から勧められ自分の半生(このブログ「行政書士と私の人生」)を書き出していくうちに、霧がかかっていた頭の中が少しずつ整理されていきました。
これからの商品・サービスは「便利さ」や「コスパ」ではなく「(お客様にとって)意味があるか」がより求められる時代になるのではないかと思います。働いてくれる社員にとっての会社という存在も同じなのかもしれません。仕事の意味を高めていくには経営者が何かを捨てることが大切ではないかと思います。
自分が強い関心のある分野に仕事を絞れば、調査研究をする際に衰えた脳の瞬発力を持久力で補うことができます。そんななかで強く感じた「経審の手続きをもっと意味のあるものにしたい」という思いを「戦略的経審」という形として考案して専用ホームページをリリースしました。成果はまだこれからですが、デジタル化の波に乗って展開したいと考えています。
この方向性で私は相談の対応に時間を集中できる体制に成長したいです。ようやく目の前の霧が晴れ、40歳の頃に感じられなかった50歳代の行政書士としての自分のイメージが出来てきました。
そして次の60歳代に向かっては敢えてデジタル化に逆らい、フーテンの寅さんのように全国を回り「よう社長!」と建設業者さんの元を訪れている。これがいま私の抱く行政書士としてのイメージです。
社員の仕事ぶりも頼もしく感じ、今後の成長に大いに期待している日々です。それぞれ目標や願望があると思いますが、気長に付き合ってもらい、自分の人生とみそらの姿が重なる点を見つけて、一緒に歩んでいきたいです。
私の人生は行政書士という職業に救われました。
自分の人生を取り戻すきっかけになったのは何か、といえば行政書士試験を受けたことであり、試験勉強のきっかけは禁煙です。禁煙のきっかけは不摂生がたたって寝込んだことであり、不摂生が続いた原因は司法書士の受験勉強に挫折して人生の目標を失ったことです。人生なにが幸いするのか分からないものです。
これからもこの原点を忘れずに、仕事に精進していきます。