天道と人道

 

大手中古車ディーラーの不祥事がマスコミを賑わせています。

 

発端は顧客から預かったクルマを故意に傷付ける動画がSNSにアップされたことだったと思います。

大手損保会社も関与した組織ぐるみの不正が元にあったということで社会問題になりました。

代表者の言動も騒動の火に油を注ぎました。

 

その後も店舗前の街路樹に除草剤をかけた疑いが全国各地で発覚し、道路管理者から器物損壊で警察署に被害届が出され、また協力業者の利益を不当に圧迫した(下請けいじめ)という疑いで、公正取引委員会が下請法違反の調査に乗り出した、という報道も耳にしました。

 

まるで絵にかいたような悪徳業者の様相で、なかなか自分ごととして感じられにくいのですが、大きな不祥事もお店の単位で細かく解きほぐしていけば、日常の職場におけるボタンの掛け違いの積み重ねではないか、という気もします。

 

行政書士は日本行政書士会連合会という組織に登録・管理されています。

何らかの違反をし、都道府県単位で組織された行政書士会から処分を下されると、全国の会員に配られている会報に会員名、事務所名、会員番号、処分の内容、処分の原因となった事実などが掲載されます。

 

その内容はマスコミを賑わすようなものではないですが、それだけに、読んでいるとなにか身につまされるような思いにもなります。こうした違反に繋がりかねない事象は、私の周りを含めおそらく日常どこにでも起きていると思います。

 

小学校の校庭で薪を背負って読書をする像でおなじみの二宮金次郎。

江戸時代に、農村の復興や経営が傾いた藩の財政を立て直す請負人として功績を残しました。

生前、弟子に世の中のとらえ方を「天道と人道」という言葉で伝えていました。

 

生物はみな自然の法則どおりに生きているため調和が乱れませんが、人間だけはそこから一歩踏み出して独自の社会を作り上げました。そのおかげで私達は普段、豊かな生活をすることが出来ています。

 

人間社会は自然の法則に守られていないので、放っておくと荒れていきます。田んぼや畑も常に人間が手を入れなければ、自然の法則で雑草が生い茂ります。

 

だから油断してはいけない、日々の手入れを怠ってはいけない。

 

ほかにも二宮は「道徳のない経済は犯罪であり、経済のない道徳は寝言である」として、経済と道徳の両立を説きました。

 

二宮金次郎は現代の企業に警告しているように思います。