下請法の改正が建設業に及ぼす影響

 

下請代金の支払期日について、下請代金支払遅延等防止法(下請法)と指導基準が改正され、今年の11月から共通で60日以内とされる見通しです。

 

この改正に建設業法も足並みを合わせ、国土交通省の「建設業法令順守ガイドライン」も手形のサイトが改正される見込みです。

ここで改めて建設工事における下請代金の適正な支払いに関する基準を確認したいと思います。

 

ポイント1

注文者から請負代金の出来形部分に対する支払い又は工事完成後における支払いを受けたときは、その支払い対象となった工事を施工した下請負人に対して、相当する支払い代金を「1カ月以内でかつできる限り短い期間内」に支払わなければならない。

 

ポイント2

下請代金のうち労務費に相当する部分は現金で支払うよう適切な配慮をしなければならない。手形で支払う場合においても、手形期間は120日以内(※今後は下請法に合わせ60日に改正される予定)でできるだけ短い期間とする。

 

ポイント3

元請負人は、前払金の支払いを受けたときは、下請負人に対して資材の購入、労働者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう配慮をしなければならない。

 

ポイント4

下請工事の完成を確認するため下請負人から工事完成の通知を受けた日から20日以内に検査を行い、かつ完成検査後に下請負人が工事の目的物の引き渡しを申し出たときは、直ちに引き渡しを受けなければならない。

 

ポイント5

特定建設業者は下請負人からの工事の目的物の引き渡し申出日から50日以内に下請代金を支払わなければならない(※ポイント1の規定とどちらか早い期日を優先)。

 

ポイント6

建設業者が関わる取引であっても、工事請負契約以外の取引、例えば運送や修繕の委託ついては、建設業法ではなく下請法が適用されます。 

 

まとめ

下請法は立場の強い発注者が弱い協力業者に対して不適切な要求をすることを抑制する趣旨を持つ法律と考えられます。

「優越的地位の乱用行為を取り締まる」という言葉で表現されています。

 

それに比べ、建設業法は特定建設業者であるかどうかを除いて、発注側・受注側の会社の規模(資本金額の大きさ)に関係なく、協力業者を保護する規定があります。

 

自社の支払いのルールを再確認し、建設業のガイドラインから外れないように注意しましょう。