令和5年度の建設業許可業者数の動向と雑感(国土交通省発表資料より)

 

国土交通省から令和6年3月末時点での建設業許可業者数の発表がありました。

その一部をご紹介します(画像:国交省の発表資料)

 

令和 6 年 3 月末現在の建設業許可業者数は 479,383 業者で、前年と比べ 4,435 業者 (0.9%)増加しました。

建設業許可業者数のピークである平成 12 年 3 月末時点の600,980業者(今から24年前)と比較する と、

121,597 業者(20.2%)減少しています。 

 

ちなみに建設投資額はピークの84兆円(平成4年)に対して、令和5年は70兆円。

最も少なかった平成22年から緩やかに上昇に転じています。

建設就労者数はピークの685万人(平成9年)に対して、令和5年は483万人(※総務省統計)。

こちらは減少し続けています。

 

新規に建設業許可を取得したのが16,267業者に対して、建設業許可を廃業したのが11,832業者。

その差分4,435業者が増加した数になります。

新規許可取得業者数はここ数年は横ばいです。

増加した原因は主に廃業した数が比較的、少なかったことによります。

 

ここでいう廃業とは「建設業許可を」廃業したことであり事業そのものではありません。

1.倒産等で事業そのものを廃業した

2.事業は継続しているが許可を維持することを止めた

以上の両方のケースが11,832業者のなかに含まれています。

この1年間で11,832者が市場から姿を消したのではない、ということですね。

 

許可を取得している業者が多い上位の3業種は次のとおりです。

1位「とび・土工工事業」181,234 業者(許可業者の 37.8%)

2位「建築工事業」144,239 業者(同 30.1%)

3位「土木工事業」131,523 業者(同 27.4%)

 

許可業者数が増加した、上位の3業種は次のとおりです。

1位「とび・土工工事業」が 2,567 業者(1.4%増加)

2位「解体工事業」 2,387 業者(3.7%増加)

3位「内装仕上工事業」2,303 業者(2.7%増加)

 

増加が多い3業種のうち最も伸び率が高いのは解体工事業です。

法改正により許可業種として追加されてから浅いこと、空き家が増加している社会情勢を反映しているのでしょうか。

 

許可業者数が減少した上位の3業種は次のとおりです。

1位「建築工事業」が384 業者の減少(0.3%減少)

2位「造園工事業」 が91 業者の減少(0.4%減少)

3位「さく井工事業」が20 業者の減少(0.9%減少)

 

住宅着工数が減少している、庭よりもエクステリアが主流である社会情勢を反映しているのかもしれません。

 

建設業以外の営業を行っているいわゆる兼業の業者は 141,155 業者で、前年より1,982 業者(1.4%)増加しました。

兼業業者が全体に占める割合は 29.4%となり、前年より 0.1 ポイント上昇しました。

 

建設業許可業者数が最も多かった平成 12 年 3 月末時点では、兼業業者の割合は 21.3% でしたので、比較すると 8.1 ポイント上昇しています。

 

建設投資額が縮小していく中で、事業を継続していくための経営努力で他の分野に進出する、あるいは事業拡大やM&Aによる他業種からの参入、というケースが増えているのかもしれません。

 

許可業者を資本金の階層別にみると、資本金300万円未満の法人がピーク時(平成12年)と比べて大きく増加しています。

報道では「業者の小規模化が進んでいる」との見解がみられます。

 

別の見かたをすると、平成18年の会社法成立により、株式会社を資本金1円から設立できることになったことの影響のほうが大きいのではないかと感じます。

手元にまとまった開業資金がなくても会社を作れるようになったのです。

それに登記簿上の資本金額と設立後に増減をする純資産額は一致しません。

弊所でも資本金は100万円未満でも純資産額は億単位になっているお客様がおられます。

 

会社法が成立する前は、有限会社の資本金は300万円以上、株式会社の資本金は1,000万円以上でした。

設立時に金融機関から受ける資本金の審査も厳しかった記憶があります。

今にしてみると結構ハードルが高いですね。

個人で始めて、頑張ってお金を貯めて会社を設立し、建設業許可を取って事業を拡大する。

というステップアップが、建設業で独立開業する際の経営者の明確な目標として存在したのだと思います。

 

出典:国土交通省「令和5年度建設業許可業者数調査の結果」