大阪万博と建設業法41条

 報道で大阪万博について「11ヵ国11パビリオンで建設費の未払いトラブルが発生し、被害を受けた建設業者は30社以上に上っている」という情報を耳目にしますyahooニュース2025.10.24より)。

 

ところで「アンゴラ館」建設工事の不払いについて、大阪府は元請と上位下請業者に対して早期解決に向けて対応するよう建設業法41条1項に基づく勧告を行いました。

この一件について、専門家の秋野弁護士は「国または監督庁に対して苦情を申し立て、建設業法41条に基づく勧告を発してもらうことによりプレッシャーをかける方法が注目された」と解説しています(月刊住宅関連法律情報第54号より)

 

 建設業法41条第1項では、国土交通大臣または都道府県知事が、建設工事の適正な施工や建設業の健全な発展のために、建設業者や建設業者団体に必要な指導、助言、勧告を行うことができるよう規定されています。

 

 さらに第2項と第3項では、特定建設業者から受注した下請業者に雇用する労働者に賃金不払い、あるいは第三者への損害賠償の問題が起きた際に、元請業者として解決に努め、場合により立替払い等の対応をするよう勧告できることを規定しています。

 

 特定建設業者の社会的責任の重さがうかがい知れる規定です。

 

 法41条の勧告に従わない場合、次の段階は第28条の指示と営業停止の規定が用意されています。内容によっては最初から28条が適用されるケースもあります。

 

 法28条の指示は一見すると41条の勧告と見分けがつきにくいですが、行政処分ですので監督官庁側の扱いは違います。

雑な例えですが、サッカーの試合でいえばイエローカードが出た(累積すると退場の恐れもある)と受け止めていただかなければなりません。

 

 詳しくは建設業法の条文をご確認いたたきたいのですが、こちらの資料が見やすくて参考になります。

 中部地方整備局パンフレット「建設業法に基づく適正な施工の確保に向けて」

 

 

 昨年の建設業法改正により、現場で働く方への賃金の行き渡りを妨げるような事象に対して、行政の監視の目はより厳しくなっているように感じます。