過去の実績を証明する書類の保管期限と7年の壁(カベ)

建設業許可を取る準備をしていて、過去の事業の実績を証明するために契約書や請求書、預金通帳などのご用意をお願いすることがあります。

 

過去の実績を証明する必要がある資格は、経営業務管理責任者と専任技術者です。

経営業務管理責任者は原則5年、補佐経験の場合には6年です。

専任技術者は国家資格等で証明できる場合を除いて実務経験年数が必要です。

この場合は最長で10年間、途切れることなく証明が必要になります。

 

新しく許可を取る以外にも、経営業務管理責任者、専任技術者が交代をする、というタイミングにおいても必要です。

  

10年前まで遡っていくと、古い方の3年間について、書類を保管されていない事業者様がけっこういらっしゃいます。物によっては、保管はパソコン内のデータでも構いません。

 

 

完全に廃棄していた場合、建設業許可の取得が非常に難しくなります。私は個人的にこれを「7年の壁」と呼んでいるのですが、法令等を当ってみると書類の保管期限には様々な規定があります。

 

書類の保管期限について

会社法432条第2項

株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない

 

国税庁№5930

事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間保存
平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度においては10年間に延長

 

建設業法施工規則第28条

目的物を引き渡した時から原則5年間
発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものにあつては10年間

 

廃棄物処理法施行規則8条の21の2

管理票(マニフェスト)の保存期間は交付した日から5年間

 

宅地建物取引業法施行規則第18条

取引台帳の保存は、事業年度終了後5年間

 

建築士法施行規則第21条

業務に関する帳簿および図書の保存は、作成してから15年間

 

 

 

事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間保存

この規定により、一般的に書類の保管期限は「7年」という認識が浸透していると感じますが、他法令の規定もきちんと把握したうえで保存すべきだと思います。


ここに記載した範囲では(建築士法を除いて)会社法を念頭に置けば、会計帳簿と重要な資料については、建設業においては、10年間の保存と考えておくほうが、妥当かつ安全ではないでしょうか。