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特定技能の申請はその後に協議会への登録が必要ですが・・・ 飲食料品製造業分野での事業所要件について

最近、技能実習生が入国出来ないこともあり、技能実習生から特定技能への移行を検討されている企業様も増えています。「在留資格変更許可申請」という申請により、技能実習生が本国へ帰国することなく、そのまま日本に在留しながら特定技能の在留資格に変更することが出来ます。現在のようにコロナウイルスの影響により外国籍の方の雇用を引き続きお考えの企業様とっては、帰国というリスクを回避できるため、一案であると言えます。

 

ここで注意していただきたいのが、特定技能への申請時に記載する産業分野「日本標準産業分類該当性要件(事業所要件)」です。「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領」に詳しく記載されていますが、飲食料品製造業分野については、下記の通りとなっています。

 

飲食料品製造業分野の1号特定技能外国人を雇用できる事業所は,「主として」次のいずれかに掲げるものを行っていることが求められます。

 

① 中分類09-食料品製造業

② 小分類101-清涼飲料製造業

③ 小分類103-茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)

④ 小分類104-製氷業

⑤ 細分類5861-菓子小売業(製造小売)

⑥ 細分類5863-パン小売業(製造小売)

⑦ 細分類5897-豆腐・かまぼこ等加工食品小売業

飲食料品製造業分野には、酒類製造業、塩製造業、医薬品製造業、香料製造業、飲食料品卸売業、飲食料品小売業(上記の⑤,⑥及び⑦を除く)は含まれません。

 

つまり、飲食料品製造業分野については、「主とし」た事業分野でのみ申請が可能なのです。複数の産業分野に該当する場合は、直近の「売上高」で判断するか、又は売上高だけで判断するのでは適正でない場合は「生産される製品の産出額,販売額又はそれらの活動に要した従業員数等」で判断されます。

 

そのため、スーパーマーケットのバックヤード等で飲食料品の製造・加工を行う場合は、主要な経済活動が飲食料品の製造・加工ではないため、飲食料品製造業分野の対象とならないのです。

 

もし、出入国在留管理局での申請が許可決定されたとしても、その後の産業分野ごとに加入が義務付けられた協議会への加入手続き段階で、事業分野の該当性無し、と判断されてしまう可能性があります。その場合は、申請された外国籍の方の雇用が引き続きできなくなってしまいます。

 

特定技能の在留資格申請前には、様々なリスクについても検討が必要ですね。

ご心配な場合は取次行政書士のいる行政書士事務所にご相談ください。

 

行政書士宇佐美陽子