経営審査の準備をしているお客様から、前期に発注者から受領した前受け金についてご質問を頂きました。
建設業特有の未成工事受入金です。建設業に特有の勘定科目について、あらためて確認していきます。
損益計算書
・完成工事高
→建設業の売上金額
・完成工事原価
→完成工事にかかった直接の費用(材料費・労務費・外注費・経費)
貸借対照表
・完成工事未収入金(資産)
→完成工事高に計上した請負金額のうち未だ回収できていないもの
・未成工事支出金(資産)
→完成工事高に計上していない工事について支出した費用
・工事未払金(負債)
→完成工事高に計上した工事に支出した費用うち支払いが済んでいないもの
・未成工事受入金(負債)
→完成工事高に計上していない請負金額のうち先に受領したしたもの
貸借対照表の資産である「未成工事支出金」に入れた支出は、決算をした期中には費用になっていません。支出した現場を完成工事高として計上していないためです。その現場が完成工事として処理したときに、資産から損益計算書の完成工事原価に振り替えられて、費用になります。
貸借対照表の負債である「未成工事受入金」に入れた収入は、決算をした期中には完成工事高にも費用にもなっていません。その現場が完成工事として処理したときに、負債から損益計算書の完成工事高と完成工事原価に振り替えられます。
収益の計算基準は、工事完成基準と工事進行基準の2つがありますが、一般的なのは工事完成基準です。工事が完成した時をもって、売り上げと費用を計上します。完成前に受け取ったり、支払ったりしたものについては貸借対照表の未成工事の科目に入れておいて後で処理をしています。
決算期をまたいで仕事が完了することは、建設業によくあることですね。それで上記のような勘定科目が必要なのですね。
ところで経営事項審査(経審)にあたって、この未成工事受け入れ金は流動負債であるため、経営状況分析(Y点)の結果に影響をしてきます。Y点には負債回転期間という評価項目があります。
流動負債と固定負債の合計額を売上高(完成工事高および兼業事業売上高を合計した年間の総売り上げ)で割った金額を月当たりの金額にして評価します。
この負債回転期間の計算においては、未成工事受入金は、金融機関からの借入金と同じ扱いになります。いわば「借金の返済を何か月分の売り上げでまかなっているのか?」ということを評価する項目です。当然、数字が少ない方が健全な会社といえ評価が高くなります。
期末に流動負債と固定負債がが多く残ると、その分は経審では不利になります。
決算を閉じる前に、対策できることがないかご検討ください。
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