物品の販売やサービスの提供など、一般的な売り上げと少し違い、
建設業の完成工事高は、注文者と結んだ一件の請負工事が完成して
注文者に引き渡した時点で、売り上げが発生します。
これが「工事完成基準」と呼ばれているものです。
「完成して引き渡し~」が重要なポイントとなるため、残金の精算を
するための完成検査や届け出、竣工式などを実施したとしても、
その後に仮設物の撤去がある、修繕工事が必要となるなど、注文者への
引き渡しができない状態が解消されるまで、収益として計上できません。
一方、工事が一年以上に渡って続く長期工事の場合には、引き渡しまで
収益の計上ができないとなると、会計上さまざまな不都合が生じてきます。
この場合、事業年度の終了時に一旦締めて、工事の進捗に合わせて
完成工事高を計上することも認められています。
これが「工事進行基準」と呼ばれているものです。
進行基準を採用した場合、事業年度末に未成工事となっている案件について、
工事進捗を見積もり、収益の一部を当期の損益の計算に計上します。
そのうえで、全体の工事請負金額を期中の工事原価の割合に沿った金額に
案分したものを完成工事高とします。
ですので工事ごとの原価管理が厳密にできていないと、工事進行基準は
採用を採用することはできません。
また税務上は別に「部分完成基準」というものも存在します。
一件の請負工事であっても、その工事の一部が完成し引き渡した時点で
その割合に応じて工事代金を支払う旨の約束や慣習がある場合があたります。
おそらく一般的には、この部分完成基準に基づく取り引きが多く使われて
いるのではないでしょうか。
例えば、月ごとの出来高による請求方法です。
尚、完成工事高に計上されていない時点(完成引き渡し前)に注文者から
受領した請負代金は、未成工事受け入れ金として損益ではなく貸借対照表に
計上されます。決算書上は流動負債になるのです。
単に取引先との約束だけではなく、現場の出来具合が当期の売り上げに
影響してくるのが建設業の特色です。
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