脱ハンコのゆくえ

快晴で気持ちの良い元旦を迎えました。本年もよろしくお願いいたします。

 

さて「脱ハンコ」という言葉もすっかり定着をしてきました。民間の調査で在宅勤務をする際のハードルとして掲げられたのが、ハンコを押すために会社へ出勤をしなければならないという問題でした。ハンコを押す目的のひとつは役所に提出する書類の作成です。

 

政府は日本国内に14,992あると言われる国の役所の手続のうち、14,909手続(99.4%)について押印廃止(ハンコを押さなくてもよい)の決定、または廃止の方向で検討しています。また役所の内部の手続307手続のうち、248手続(80.8%)について押印廃止の決定、押印を廃止する予定又は廃止する方向で検討しています。

 

押印見直し対象となったものは、原則として2020年内に政省令や告示の改正を行い、法改正が必要な事項については、2021年通常国会に一括法を提出することを検討中ということが公表されています。

 

99.4%は脱ハンコですから、残り0.6%だけがハンコを押せばいいことになります。どんなものが残るかというと、身近な手続きでいえば土地を売買して法務局で登記をする際には今後も実印と印鑑証明を使って申請を行うことになるようです。どうしてもハンコを押しておかないと、間違った場合に重大な損害が起こりえるというケースだけが残されるようです。

 

そうすると次のハードルは地方公共団体です。私たちの仕事や生活上の身近な手続きは県や市町で行うものが多く存在します。こちらも国と同じように脱ハンコを進めてくれないと便利になりません。

 

国から地方公共団体に対して「どうしてもハンコが必要である合理的な理由を示せないなら廃止しなさい」という「押印見直しマニュアル」が示されています。手続きする際の本人確認や作った書類が本物であるという証拠としては、運転免許証やマイナンバーの確認で代わりになりますので、国と同様にほぼ全てが脱ハンコになるのではないでしょうか。

 

さっそく昨年末に、静岡県庁建設業課から建設業許可や届出に関する書類への押印の廃止が本年1月1日より施行される旨のお知らせが発表されました。これまで静岡県からは法人の実印だけではなく、役員個人の実印、さらに印鑑証明書の提出までもが求められていました。土地の売買のように利害が対立する関係者が存在しないのにここまで要求されることに甚だ疑問を抱いていました。

 

押印いただく際、お客さまから「たくさんハンコ押すだねぇ」と半ば呆れられて心苦しかったのですが、これで少し気が楽になりそうです。その分、内容の相互確認にはこれまで以上に注意していきたいと思います。