建設業法とデジタル庁の議論

デジタル庁で行政の様々なデジタル化について議論がされています。

 

そのひとつが「デジタル完結・自動化原則」です。これは、書面、対面、目視、定期点検などを義務づけるルールについて、デジタル完結・自動化 による対応を基本とすることです。

 

詳しくはこちら(デジタル庁HP)

 

 

 建設業法にはこれに関連する箇所がいくつもあります。

 

(第7条)

営業所ごとに専任技術者を常駐で配置しなければならない

 

(第26条)

現場ごとに専任の主任技術者・監理技術者を常駐で配置しなければならない

 

配置技術者の緩和については、これまでも議論がされてきました。過去に国土交通省が作成した資料でも、次のような内容で業界団体からの要望が出されています。

 

【業界団体等の要望(兼務について)】

・専任の監理技術者についても、主任技術者と同様に兼務を認めてもらいたい。

・主任技術者の兼務が認められる範囲を拡大してもらいたい。

・営業所に配置している技術者について、現場との兼務の範囲を拡大してもらいたい。

 

【業界団体等の要望(専任要件の緩和について)】

・次のような工事においては、技術者の専任要件を緩和してもらいたい。

 - 型式認定等ユニット式工法に基づく工事(規格化され、業務量が少ない)

 - 機器費が大部分を占める工事(請負金額の割に、業務量が少ない)

 - 継続的な工事が求められない改修工事(非作業時の監理技術者の専任)

 - 難易度の低い工事(規模が大きいために専任が必要となってしまうもの)

 - 小規模工事が分散している工事(現場毎に技術者の専任を求めるのは加重)

 - マネージメントのみの下請工事(業務量が少なく、巡回による施工管理で対応可

 

業界としては法的にクリアーできる技術者の確保、育成の難しさに悩むところ、建設業法には「品質の確保」という目的があるため、実現は難しかったのだと思います。

 

しかしコロナ禍によって、働き方、品質確保のあり方、も再検討をされる機運が高まってきていることと思います。

 

デジタルを有効活用することで、施工品質の確保と技術者の適正配置のバランスが取れるのではないか?今後の議論に期待をしたいところです。