”おかえりモネ”と高速道路

10月末に終了したNHK朝ドラ“おかえりモネ”。あまり人気がなかったようなのですが、私は主演のクールな演技になんとなく惹かれ、筋がよく分からないまま、たまに週末のダイジェスト版を観ていました。

 

東北の港町出身の主人公モネが東京で天気予報の仕事をしている、という認識はあったのですが、最終回を観ていて、舞台が宮城県の気仙沼だということにようやく気が付きました。

 

気仙沼は思い出のある土地です。東日本大震災の翌月、友人に誘われて、約一週間、災害ボランティアで滞在しました。朝から夕方までヘドロの撤去などの作業に従事し、夜は居酒屋で地元の方から話を聞きました。その後、家族を連れて観光に行きましたが、人懐こい土地柄で、海の幸が美味しく、また景色もきれいでいい所です。

 

災害ボランティアの帰り道、東名の由比PAで休憩をした時、私はハッとしました。由比PAがある辺りは、東海道の難所“薩田峠”がある場所で、東名高速、国道1号、新幹線、東海道線が狭い海岸線に集中しています。

 

それに比べ、東北自動車道、東北新幹線ともに内陸にあるため、震災の直後から利用することができました。ボランティアの時も東北自動車道では自衛隊の大きな隊列と何度もすれ違いました。“東北自動車道が使えなかったら救助・復旧はどうなっていたのか?”静岡で大地震が起きた時のことを想像すると、空恐ろしくなりました。

 

内陸の主要道を軸にして、海岸線に向けて順次道路を復旧していく計画。震災当時、国土交通省は“くしの歯作戦”と呼んで遂行していました。私は改めて、翌年に控えていた“新”東名高速道路の開通に納得しました。

 

朝ドラの最終回で、主人公のモネは、震災からずっと閉じたままの楽器ケースを開けます。その時に「やっと戻ってこられた」とつぶやき、妹や友人から「おかえり、モネ」と言われていました。

 

お互い、どんな気持ちだったのでしょうか。