今年度の経審(経営事項審査)が終盤になりますが、経営状況分析8指標のひとつである「負債回転期間」について、残念に思う機会がありました。
弊所では経審の準備がひと通り済むと、点数のシミュレーションをします。
今年度は、決して業績の悪くなかった複数のお客さまから、
「(思ったより)点数が悪いがどうして?」という質問が寄せられました。
経審の点数には様々な要素が影響をしますから断言はできませんが、考えられる原因として、期末の負債が増えていることがありました。
「銀行(信用金庫)に頼まれて借り入れした」
「別に困っていたわけでもないんだが、一応ね」
私がお伝えすると、上記のようなお返事がありました。
元請業者さんは何かと支払いの責任が重く、動かす金額も大きくなります。
万が一のことを考え、借りて現金を持っていよう、という意識が働きます。
そこが、金融機関さん側の思惑と一致するのですね。
改めて「負債回転期間」の計算式を見てみます。
負債回転期間=(流動負債+固定負債)/(売上高÷12)
決算書の負債の合計額を、売上高の1か月平均額で割った数字です。
毎月の売り上げに対してどれだけ負債(支払い)の負担が大きいか、を評価しているものです。
流動負債に含まれるものとしては、短期の借入金(一年以内に返済するもの)、工事未払金、未成工事受入金など、固定負債に含まれるものとしては、長期の借入金などがあります。
企業の月々の支払能力を見ていますが、注意していただきたい点があります。それは、経営状況分析で評価するのはあくまで「決算日」であることです。経審で言うところの「審査基準日」ですね。
資金繰りには余裕があるのに、経審の取りこぼしがないようにするには、決算日までに、支払えるものは支払う、返せるものは返す、という方針を徹底し、期末の負債の残高を減らすことが、必要だと思います。