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<決算時(スポット契約)のサービス料金について>
料金の目安:15万円~20万円
(経営状況分析申請、決算終了後の変更届、経営規模等審査申請の一式)
※業種の数、完成工事高、兼業事業の状況、従業員様の数などにより作業量が変動しますので、お客様からヒアリングの後にお見積りいたします。
<経審のための目標設定と事業計画(戦略的経審2.0)>
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まずは無料相談をご利用ください。ご来所、お電話、LINE、オンラインでの相談に対応しており、全国どこでもサポートいたします。どうぞお気軽にお問い合わせください。
(1)経営規模等審査
「経営規模等審査」とは、公共工事(国又は地方公共団体等が発注する建設工事であって政令で定めるもの)を、発注者から直接請負おうとする建設業許可業者が必ず受けなくてはならない審査です。
国と地方自治体以外にどの発注機関から発注された工事が「公共工事」なるか?については、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律施行令に定められています。具体的には次のとおりです。
■首都高速道路株式会社、新関西国際空港株式会社、中間貯蔵・環境安全事業株式会社、中日本高速道路株式会社、成田国際空港株式会社、西日本高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社、東日本高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社、沖縄科学技術大学院大学学園及び日本中央競馬会
■削除
■国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、国立研究開発法人科学技術振興機構、国立研究開発法人情報通信研究機構、国立研究開発法人森林研究・整備機構、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構、独立行政法人空港周辺整備機構、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、独立行政法人国際協力機構、独立行政法人国立科学博物館、独立行政法人国立高等専門学校機構、独立行政法人国立女性教育会館、独立行政法人国立青少年教育振興機構、独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構、独立行政法人自動車事故対策機構、独立行政法人中小企業基盤整備機構、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構、独立行政法人都市再生機構、独立行政法人日本学生支援機構、独立行政法人日本芸術文化振興会、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構、独立行政法人日本スポーツ振興センター、独立行政法人水資源機構及び独立行政法人労働者健康安全機構
また、公共機関から発注される仕事の内容が工事なのか?という問題もあります。
たとえ発注者が国や地方自治体であっても内容によっては公共工事に該当しないということもあります。経審のルールでは以下のような業務は工事に該当しないことと定めています。
保守点検、維持管理、除草、草刈、伐採、除雪、融雪剤散布、測量、地質調査、樹木の剪定、庭木の管理、造林、採石、調査目的のボーリング、施肥等の造園管理業務、造船、機械器具製造・修理、建設機械の賃貸、宅地建物取引、建売住宅の販売、浄化槽清掃、ボイラー洗浄、側溝清掃、コンサルタント、設計、リース、資材の販売、機械・資材の運搬、保守・点検・管理業務等の委託業務、物品販売、清掃など
工事に該当しない業務については、それぞれの発注機関で「業務委託」「維持管理」などという項目で工事とは別に管理され発注されています。よってこれらの業務だけを受注したい場合には経審を受ける必要がない場合もあります。
ただし最終的には発注者の判断で運用していますので、個別の確認作業が大事になってきます。
公共工事というと一般的には「入札」によって受注者が決まる、というイメージが強いのではないかと思いますが、必ずしもそうではありません。「直接請け負おうとする」という言葉のとおり、入札以外にも相見積もりの場合も含まれます。以下はある地方自治体が定めている区分です。
建設工事入札参加区分等 (単位:万円)
■130 以下・・・随意契約 (2者以上見積合せ)
■130 超 250 以下・・・随意契約 (3者以上見積合せ)
■250 超 1,000 未満・・・指名競争入札(6者以上)
■1,000 以上・・・制限付き一般競争入札(10者以上)
この場合、発注額が250万円以下の場合には、競争入札ではなく相見積もりになりますが、それでも経営事項審査を受けていなければならないことになります。
また経審は建設業許可業者があることが条件とされていますので、経審を受ける前提として、まず建設業許可を取得していなければなりません。ここで、建設業許可が必要となるケースを改めて確認します。
■原則:一件の請負契約金額が500万円以上となる工事
■例外:500万円以上でも、元請で延べ床面積150㎡未満の木造住宅または請負金額が1500万円未満の新築または増築工事(建築一式工事)は不要
公共工事の発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者について資格審査を行いますが、このうち建設業者の施工能力や経営状況などを客観的な指標で評価する審査が「経営事項審査」です。「経営事項審査」は、「経営状況」と「経営規模、技術的能力、その他の客観的事項」について数値により評価を行います。このうち、「経営状況」についての評価(「経営状況分析」)は、国土交通大臣の登録を受けた機関(「登録経営状況分析機関」)が行い、「経営規模、技術的能力、その他の客観的事項」(「経営規模等評価」)については、許可行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)が行います。
経審を受ける順番には一定の流れがあります。
(2)総合評定値の請求
「総合評定値」とは、「経営状況」と「経営規模、技術的能力、その他の客観的事項」における評価項目ごとの評点を一定の計算式にあてはめて算出する総合的な評点のことです。「総合評定値」は、審査対象業種ごとに算出しますので、入札参加資格申請等で必要となる全ての業種を受審するようにご注意ください。
ここで注意が必要なのが、経審を受ける許可業種の選択です。ある工事をどの業種で発注されるかは、発注者の判断に委ねられています。
例えば、耐震化が目的の外壁改修工事で内容からすると建設業法上はタイル・レンガ・ブロック工事に該当する工事であっても、実際には建築一式工事で発注されるケースが良く見られます。
ただし建築一式工事の許可を取得できるかどうかは、国家資格や実務経験など許可の要件を満たしたうえでのこととなります。
自社で受注している工事に合わせて建設業許可を取得したのに、望んでいる公共工事が受注できる機会が無い(=経審が受けられない)という事態も想定できますので慎重な検討が必要です。
なお、「総合評定値」を請求する者は、「経営状況分析結果通知書」を添付して請求することが必要です。
(3)審査基準日
経営事項審査では、原則として申請をする日の直前の事業年度終了日を基準として、その時点における各項目について評価を行います。この日を審査基準日と呼びます。
なお、法令に定めのある場合等特段の場合を除き、同一の審査基準日に対して審査の受け直しはできませんので、ご注意ください。
経審はあくまで過去の実績による評価であるため、有効期間が1年7か月あります。
過去とは直前決算期の期間内を指していて、決算日(=審査基準日)における財務内容、受注の実績、在籍している社員と保有する資格、社会貢献度(公的保険制度や災害協定など)の数値や有無を総合的に評価するものです。
ちなみに既存取引先の与信管理や新規引き合い案件の検討にあたって、公表されている経審結果を参照される方も多くいらっしゃいます。全国共通の公的な評価であるという面で有効な検討材料の一つであると思いますが、企業のリアルタイムの状況が見えるわけではありません。
公表されている結果の審査基準日から現在までに経過した期間を考慮したうえで参照して頂ければと思います。経審結果はあくまで補足資料とし、五感と足を使って生の情報を入手し検討をして頂ければと思います。
(1)決算変更届の提出
経審を受けるにはまず、「決算変更届」という書類が建設業許可を申請した行政庁に提出しているか確認しなければなりません。決算変更届は建設業許可を取得した業者が毎年提出しなければならず、会社の決算情報や工事実績をまとめた書類です。提出期限は事業年度終了から4カ月です。
提出していないと経審を受審できなくなるので、過去年分の提出忘れがないかチェックが必要です。
(2)経営状況分析の申請
次に経営規模等審査を受審するには「経営状況分析」を受けなければなりません。経営状況分析は、国土交通大臣の登録を受けた「(一財)建設業情報管理センター」などの民間機関に申請して取得します。経営状況分析の申請は、経営事項審査の中の「経営状況(Y)」を算出するために必要です。
(3)経審の予約
決算変更届が提出されていることを確認し、経営状況分析を取得したら、経営事項審査を受審するための予約に移ります。地方整備局(大臣許可)の場合には書類を提出するのみで予約は要りません。
実際に経営事項審査を受審する日時の決定は、許可行政庁(主たる営業所のある都道府県)によって様々です。先着順で空きが埋まるところもあれば、所在地の市区町村と決算月で受審日が固定されているところもあります。
予約方法や予約の手順については、主たる営業所がある都道府県に事前に確認しましょう。
(4)経審を受ける
経営規模等審査の受審当日は、予約時間に遅れないように役所に行きましょう。審査自体は1時間前後で終わりますが、当日の混雑具合によっては1時間前後待たされる場合があります。
また令和5年1月より、一部の都府県を除いて電子申請システム(JCIP)が利用できるようになりました。基本的に事務所にいながら手続きをすることが可能となりました。ただし電子申請による場合でも、対面による審査を義務付けている許可行政庁がありますのでご注意ください。
(5)結果通知の受領
経審の申請書が受け付けられてから、3週間から1カ月程度で結果通知書が会社に送られてきます。結果通知書が届きましたら「みそら」の無料相談をご利用ください。御社の経審結果通知書を確認させていただき、「問題のあるポイント」や「足りない取り組み」を無料でアドバイスいたします。そのほかにも「経営事項審査をどうすべきか正確に理解したい」などといったお悩みについて解決策を提供いたします。
<今まで御社にこんな「がっかりした」ことはなかったでしょうか?>
【事例1】期末の金融機関からの借り入金で評点が下がってしまった
期末の資金繰りには余裕があったが、取引先金融機関の担当者から新規の借り入れを懇願されて承諾し、一時的に数千万円の借り入れをした。有利子負債の増加は利息の支払いが発生していなくても貸借対照表に計上されるだけでY点に直接の影響があるため、想定していた評点を下回る結果となった。
◆みそらにご依頼いただいた場合…
借り入れの契約をする前にご相談を頂ければ、金融機関との信頼関係の維持を尊重しながら、経審のシミュレーションをもとに借入額を検討する機会が得られます。
【事例2】手続き漏れで加点がかなわなかった
取引先から要請されて、建設キャリアアップシステムの技能者登録をしていたが、別途レベル向上判定の手続きをしていなかった。経審の直前になってカードを確認したところ、皆、レベル1(白色)のままになっていたため、加点の対象とならなかった。
◆みそらにご依頼いただいた場合…
キャリアアップシステム登録の状況を事前に確認させていただき、加点のための手続きを提案する機会が得られますし、能力評価の手続きもサポートします。
御社の経審結果通知書を確認し、「改善が必要なポイント」や「不足している取り組み」について無料でアドバイスいたします。また、「経営事項審査を正しく理解したい」などのお悩みにも解決策をご提案いたします。
まずは無料相談をご利用ください。ご来所、お電話、LINE、オンラインでの相談に対応しており、全国どこでもサポートいたします。どうぞお気軽にお問い合わせください。
<提出する書類>
こちらは静岡県の経営規模等審査に必要な提出書類です。 尚、電信申請(JCIP)を利用する場合にはシステムの画面上での入力、アップロードとなります。
① 経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
(様式第二十五号の十四)
② 工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高
(様式第二十五号の十四 別紙一)
③ 技術職員名簿
(様式第二十五号の十四 別紙二)
④ その他の審査項目(社会性等)
(様式第二十五号の十四 別紙三)
⑤技能者名簿
(様式第5号)
⑥経営状況分析結果通知書
(様式第二十五号の十)
⑦ 審査手数料収入証紙(印紙)貼付書
※下記⑧~⑱については、該当する場合のみ提出
⑧「CPD単位を取得した技術者名簿(技術職員名簿に記載のあるものを除く)」
(様式第4号)
⑨CPD単位を取得したことを証明する各団体の発行する証明書
⑩「技能者数」に記載された者について、審査基準日以前3年間に認定能力評価基準により受けた評価(建設キャリアアップシステムにおける技能者レベル)が上がったことを証する書面
⑪決算期変更、法人成、事業継承等で12か月に満たない決算期間がある場合
・利益額計算表
・工事種類別完成工事高計算表
・工事種類別元請完成工事高計算表
⑫「監査の受審状況」(項番60)で1~3を選択した場合
・会計監査人設置会社の場合:有価証券報告書又は監査証明書
・会計参与設置会社の場合:会計参与報告書
・経理処理の適正を確認した旨の書類を提出する会社の場合:「経理処理の適正を確認した旨の書類」に自らの署名を付したもの(「建設業の経理が適正に行われたことに係る確認項目」を含む)
⑬「継続雇用制度の適用を受けている技術職員名簿」
⑭ISO9001の登録証
⑮ISO14001の登録証
⑯建設機械の保有状況一覧表
⑰外国子会社並びに建設業者及び外国子会社についての数値の認定書
⑱建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置を実地した旨の誓約書及び情報共有に関する同意書
(様式第6号)
参考:静岡県の令和5年度経営事項審査申請要領
<提示する書類>
提出資料とは別に、受審時に提示を求められる資料があります。こちらの資料も忘れずに持参しましょう。尚、電子申請(JCIP)を利用する場合にはシステム上でアップロードをすることになります。
○建設業許可申請書(控)
○変更届出書(控)
○廃業届(控)
○決算終了後提出の変更届出書(控)
・工事経歴書(様式第二号)
・直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第三号)
・財務諸表等(様式第十五・十六号又は様式第十八・十九号)
・県税納税証明書
○消費税納税証明書(その1)
○消費税確定申告書(控)及び添付書類
○法人税確定申告書一式(控)及び添付書類
○決算書
○総勘定元帳のうち、以下の部分がわかる書類の写し
・売上の内訳がわかる部分(全ページ)
・消費税の最終清算がわかる部分(仮受消費税等及び仮払消費税等の各最終ページ等)
○工事経歴書に記載した工事に係る工事請負契約書又は注文書(変更契約又は追加の注文があった際は、変更に係る契約書又は追加の注文書等)
○前回の経営規模等評価申請書(控)
○契約後VEにより契約額が減額となったことを証明する書類(該当する場合のみ)
○雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)又は雇用保険被保険者証(公共職業安定所長発行のもの)
○健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書又は健康保険証(記号・番号・保険者番号はマスキング(黒塗り)して提示)
○後期高齢者医療制度対象者は当該被保険者証
○技術職員名簿に記載された技術者の資格を証する書類(合格証明書、免許証、登録証、免状、合格証書等)
※監理技術者資格者証の交付を受けている者については資格者証及び監理技術者講習修了証
※登録基幹技能者講習を修了した者については登録基幹技能者講習修了証(規則様式第30号)
○職員名簿
○法人番号の確認書類(初受審のみ)
参考:静岡県の令和5年度経営事項審査申請要領
<書類収集のポイント>
書類によっては、1部もしくは正本と正本の写しの2部が必要な場合があります。また写しの1部だけでいい場合もあるので注意しましょう。さらに初回の審査か2回目以降かによって、提出する書類が1年分でいいのか3年分必要なのか変わってきます。必要書類は一覧に記載の通りに重ねて持参してください。
ポストイットを書類に貼って番号を振っておくと、審査する側も見やすいでしょう。書類ごとにファイリングされていたり封筒に入っていたりすると、提示するのに手間がかかります。なるべく短時間で審査が終えられるよう準備してください。
集めた書類が足りなかったり不備があったりすると、審査を受け直さなければなりません。申請に必要な書類は、必ず抜け漏れなく準備するようにしましょう。
<貸借対照表の数字 >
経審の経営状況分析(Y点)対策ですが、貸借対照表は右側が負債と純資産、左側は資産となっていますが、経審的にはそれらの数字が決算の時点で小さい方が良い点数になる傾向があります。具体的には次のような方法で、貸借対照表の数字を小さくできます。
・完成工事未収入金の回収
・事業に直接関係ない資産の現金化
・借入金の返済
・工事未払金の支払い
<特定自主検査を受ける>
会社保有の建設機械がある場合は、決算前に忘れずに車検や特定自主検査を受けて下さい。
とくに建設機械は毎年特定自主検査を受けなければならない為、経審の審査基準日時点で検査の有効期限が切れないように気をつけましょう。
特定自主検査とは…土木工事や建設現場で活躍する建設機械は、とても便利ですが整備不良などで誤作動を起こせば大きな事故につながります。事業主は労働安全衛生法により、1年以内ごとに1回(不整地運搬車は2年以内ごとに1回)定期に、有資格者による自主検査を実施することが義務付けられています。
<監理技術者資格者証の有効期限>
監理技術者資格者証の有効期限も忘れずにチェックしましょう。監理技術者資格者証の有効期限は交付日から5年ですが、監理技術者講習は前回の受講日から5年を経過した後に最初に訪れる12月31日です。この期限が切れていると、せっかく監理技術者資格者証を持っていても5点の加点にしかなりません。1級の資格者で、有効期限のある資格者証と監理技術者講習の修了があれば、6点の加点になります。
<決算変更届の提出 >
経審を受審する前に必要な決算変更届は、1期でも提出忘れがあると審査を受けられません。決算変更届は事業年度終了4ヶ月以内に、建設許可を取った行政庁に提出するのが建設業者の義務です。
決算変更届は経審を受ける場合と受けない場合で記載の仕方が違うのも、気を付けたいポイントです。経審を受ける場合は、免税事業者を除いて「税抜き」で作成しなければならないこともあわせて覚えておきましょう。
<経営状況分析>
初回の経営状況分析の申請には、3期分の決算変更届の提出が求められます。次の年度からは1年分の提出となります。経営状況分析の申請から結果通知書を受け取るまでの期間は、申請した分析機関によって異なります。事前にどのくらいの期間がかかるのか問い合わせることをおすすめします。
<財務諸表・工事経歴書の作成 >
経審に提出する財務諸表は、税務申告書に添付した決算書とは異なる勘定科目を使用します。また同じ勘定科目でもその内容が異なる場合があるので注意しましょう。
一例はこちらです。
・売上高:建設工事の完成売上高とそれ以外の売上高(兼業事業売上高)とを区別する
・売上原価:完成工事高の工事原価と、兼業売上高の原価を区別する
経審に提出する工事経歴書も、次のような経審独自のルールに従って作成しなければなりません。
・消費税:全て消費税抜きの金額で記載(免税事業者を除く)
・記載の順番:①元請工事を元請工事全体の売上高の7割に達するまで順番に記載
②金額の大きい順に元請け下請け関係なく記載
経営事項審査(経審)は公共工事の入札のために欠かせない手続きですが、経審の点数によって受注できる工事が決まってきます。というのも、経審はその点数と自治体の評価によって業者が格付けされ、規模に応じた工事を受注できるという制度となっているためです。
「経審の点数をあげるコツが知りたい。」
「効率よく点数をアップさせるには?」
このように思っている方へ、こちらでは、経審の点数を上げるための5つのポイントを中心に、結果通知書の見方などを詳しく解説しています。ポイントを押さえて経審の点数をアップさせ、より大規模な公共工事を請け負えるようにしていきましょう。
<1.経審点の構造を理解する>
経審の点数の構造をしっかり理解することこそ、点数アップのためにはとても大切です。経審の点数は「総合評定値(P点)」として表され、会社の経営状況や経営規模などを数値化した5つの評点から求めます。それぞれの要素の詳細は以下の通りです。
X1:完成工事高
X2:自己資本額・平均利益額
Z :技術者の数・元請完成工事高
Y :経営状況
W :その他審査項目(社会性等)
このような評点に決められた掛け率を掛け、合算したのが「P点」となります。経審の点数がこのような構成で成り立っていることを理解することが、点数アップ対策の上で重要です。
経審の結果はインターネット上で公開されていて、同じ地域の同業他社の結果も閲覧できます。点数が高い他社では、どのような部分が良くて点数が高いのかということを分析できるようになると、自社に足りない部分やこれから取り組まなければならないポイントも見えてくるはずです。
<2.審査項目の評点算出方法と評点のアップ対策>
それでは経営事項審査の評点算出方法と、評点をアップするための対策を解説していきます。
【P点:総合評定値の算出方法】
「P点」は、次のような数式で算出します。
総合評定値(P)=0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W(※小数点以下四捨五入)
【X1点、X2点:完成工事高等の経営規模ー完成工事高の配分】
「X点(X1・X2)」は、いずれも会社の経営規模を示します。X1は「工事種類別年間平均完成工事高」、X2は「自己資本額・利払前税引前償却前利益」の項目です。「X点」は完成工事高や自己資本金額などで点数が決まってくるということで、短期的な対策による点数アップは難しいのが現状です。しかしそんな中でも点数アップに効果的な方法が2つあります。
完成工事高に「工事進行基準」を用いる
多くの建設会社では、完成工事高は工事が完了した時点で初めて収益として計上するのが一般的です。しかし年度をまたいだ工事の場合、経審の申請時に工事8割完成していても、工事が完成していない限り完成工事高に計上できません。そこで、工事の進行状況に応じて完成工事高を計上できる「工事進行基準」を会計方法に用いれば、進行度合いに応じた完成工事高を計上でき、結果として点数アップにつながります。
※会計や税法については他の専門家のアドバイスを受けて下さい。
完成工事高の「業種間振替」を利用
完成工事高の「業種間振替」を利用して、関連する専門工事の工事高をアップさせることが可能です。例えば静岡県では、特例計算として次のような振替が可能です。
一式工事
◆とび・土工、石、鋼構造物、舗装、しゅんせつ、塗装、水道施設、解体→[土木一式工事]
◆大工、左官、とび・土工、石、屋根、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、熱絶縁、建具、解体→[建築一式工事]
専門工事
◆とび・土工⇔石、舗装、造園、さく井、解体
◆管⇔熱絶縁
◆板金⇔屋根
なお、特例計算をするためには振替元と振替先の両方の業種について建設業許可を受けていることが前提です。
【Y点:経営状況ー利益追求と無借金経営】
Y点は会社の経営状況が点数化されたもので、次のような審査項目です。
① 純支払利息比率
② 負債回転期間
③ 売上高経常利益率
④ 総資本売上総利益率
⑤ 自己資本対固定資産比率
⑥ 自己資本比率
⑦ 営業キャッシュフロー
⑧ 利益剰余金
「Y点」をアップさせるには、会社の財務の健全化がカギになります。とくに「利益の徹底追及と自己資本比率アップによる無借金経営」が最も理想的な方法です。一例として、具体的には次のような工夫をすると「Y点」アップが見込めます。
・できるだけ有利子負債を減らし支払利息を減らす(純支払利息比率)
・受取利息があればもれなく計上する(純支払利息比率)
・期末の時点でできるだけ未払金を支払って減らす(負債回転期間)
・期末の時点でできるだけ返せる借入金は一旦返済する(負債回転期間)
・工事ごとの粗利益確保のための見直し(売上高経常利益率ほか)
【Z点:技術力ー資格取得の推進と活用】
Z点は会社の技術力が点数化されます。即効性のある対策が取りにくいため、会社の技術力を上げるために長期的な目線で取り組むといいでしょう。なお、「Z点」の点数アップのためには、次のような施策が効果的です。
・監理技術者講習の受講
・技術職員を適正に振り分ける
・社員の資格取得を支援
・有資格者を優先採用
【W点:社会的貢献度などの評価ー社会保険制度の活用】
W点は会社の社会性等、その他の審査項目となります。こちらは1項目当たりの加点が大きいため、改善することで大幅な点数アップが期待できます。次の経審に向けて、効率的に点数アップを狙いたいという場合は、W点から考えることをおすすめします。
・建退共の加入
・退職一時金制度
・法定外労働災害補償制度
・若年者(35歳未満)の技術者の採用
・建設キャリアアップシステム技能者登録およびレベル向上判定
・CPD教育
・エコアクション21登録
・建設機械の保有(15台まで)
・建設業経理士(2級まで)
W点はW1からW8まで項目があり、総合評定値(P点)の算出において15%のウエイトを占めます。
<3.完工高の平均の選び方>
完成工事高は高ければ高い方が、より経審の点数がアップします。とは言っても経審を受ける際には、2年平均か3年平均化のどちらかを選んで申請しなければならず、どちらを選ぶかで点数アップに差が出るので、必ず事前に確認しましょう。
とくに複数業種の経審を受ける場合、業種ごとに平均年数を選ぶことができないので注意が必要です。どちらの年数を選べば何点違ってくるのかを徹底的にシミュレーションし、点数を上げたい業種の優先順位を決めるようにしましょう。
<4.技術者加点>
在籍している技術者が保有している資格や実務経験、講習受講の有無によっても経審の点数が変わってきます。資格や実務経験によって加点されるのはもちろんですが、講習を受講することでも点数アップが期待できるので、忘れずに取りたいところです。中でも「監理技術者証」を持つ技術者がいる場合は、忘れずに監理技術者講習を受けるように指導しましょう。
<5.決算書>
経審の項目で決算内容が関係するのは「X2(自己資本額・平均利益額)」と「Y(経営状況)」です。「X2点」は創業から審査基準日時点までどれだけ利益を出してきたか、「Y点」は決算書から建設業財務諸表を作成し、それを分析機関に申請して点数化してもらいます。
Y点は、「負債抵抗力(X1・X2)」「収益性・効率性(X3・X4)」「財務健全性(X5・X6)」「絶対的力量(X7・X8)」の4つについて、 それぞれ2指標ずつ、合計8指標を数値化します。Y点のX1~X8はP点を算出するための経営規模のX点とは別物です。
「負債抵抗力」とは、建設業者の負債に対する安定性を評価する指標です。具体的には、有利子負債の期中平均残高や借入利率、負債の支払能力などが考慮されます。負債抵抗力が高い建設業者は、負債返済に安定性があり、経営の安定性も高く評価されます。経営状況評点の算出にも影響を与える重要な要素となります。
「収益性・効率性」とは、企業が資本をどれだけ効率的に活用して利益を上げているかを評価する指標です。具体的には、企業の経常的な活動によって得られる収入(売上高)と、その収入に対してどれだけ効率的に利益を上げているかが考慮されます。
「財務健全性」とは、企業の資金調達の健全性を評価する指標です。これは、企業が持つ資金状況や負債の適正性、流動性などを考慮して判断されます。財務健全性が高い企業は、十分な資金を確保し、債務を適切に管理していることを示しています。これにより、企業は経済的な安定性を保ちながら事業活動を継続し、将来の成長に向けての基盤を築くことができます。財務健全性は経営状況評点の算出においても重要な要素となります。
「絶対的力量」とは、企業活動によって生じた現金の量やその蓄積を絶対的な金額で表したものです。この指標は企業の規模に応じて評価することができます。絶対的力量が高い企業は、多額の現金を保有し、経済的な強さや安定性を示すことができます。この指標は企業の財務状態や資本の使い方に関する評価に役立ちます。絶対的力量は経営状況評点の算出において重要な要素の一つです。
◆X1 純支払利息比率
(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100
※数字は小さいほうがよい
Y点への寄与度29.9%
◆X2 負債回転期間
(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)
※数字は小さいほうがよい
Y点への寄与度11.4%
◆X3 総資本売上総利益率
売上総利益÷総資本(2期平均)×100
※数字は大きいほうがよい
Y点への寄与度21.4%
◆X4 売上高経常利益率
経常利益÷売上高×100
※数字は大きいほうがよい
Y点への寄与度5.7%
◆X5 自己資本対固定資産比率
自己資本÷固定資産×100
※数字は大きいほうがよい
Y点への寄与度6.8%
◆X6 自己資本比率
自己資本÷総資本×100
※数字は大きいほうがよい
Y点への寄与度14.6%
◆X7 営業キャッシュフロー
営業キャッシュフロー÷1憶(2年平均)
※数字は大きいほうがよい
Y点への寄与度5.7%
◆X8 利益剰余金
利益剰余金÷1憶
※数字は大きいほうがよい
Y点への寄与度4.4%
上記X1~X8の指数を数値化したら次の式に当てはめ経営状況点数Aを算出します。
-0.4650×(X1)-0.0508×(X2)+0.0264×(X3) +0.0277×(X4) +0.0011×(X5) +0.0089×(X6) +0.0818×(X7) +0.0172×(X8)+0.1906=経営状況点数A
※小数点以下第3位を四捨五入
上記式の算出した数字を次の式に当てはめてY評点を算出します。
= 167.3 × 経営状況点数A + 583
※小数点以下第1位を四捨五入
※最低点は0点、最高点は1,595点
「Y点」は言ってみればつぶれにくい(倒産のリスクが小さい)会社を高く評価する仕組みになっています。したがってこれを向上させるには財務の健全化がカギになります。とくに「利益の徹底追及と自己資金比率アップによる無借金経営」が最も理想的な方法です。具体的には次のような経営努力をすると改善が見込めます。
1.支払利息を減らす
2.受取利息を忘れず計上する
3.借入金を返済して減らす
4.利益向上のため、受注単価、原価の見直し
5.営業に不必要な固定資産を減らす
6.役員からの貸付金等を原資として増資する
経審を受審して、3週間~1ヶ月程度で結果通知書が送られてきます。結果通知書を見る場合には、次のような箇所を注意して見ましょう。
<1.点数のつけられ方>
複数業種で受審した場合、点数の付けられ方として「X2」・「Y」・「W」は業種に関わらず会社自体を評価する項目のため、全業種で同じ点数が加点されます。一方、「X1」・「Z」の2項目は業種ごとに評価されるため、加点のばらつきが生じます。よって経審の点数の付けられ方は、「X2」・「Y」・「W」の3項目をベースとして「X1」・「Z」の2項目で業種ごとに加点されると考えましょう。
<2.経審で自社にとって最適な得点を得て公共工事を獲得>
経審の総合評定値(P)をもとにして、自治体では公共工事の発注数や会社数とのバランスを取りながら、点数の高い方からA~Dにランク付けされます。このランクに応じた発注予定額の公共工事に入札できるようになります。 自社の規模にあった公共工事を受注したいのなら、経審の総合評定値(P)の点数を最適にすることが必須です。
経審の結果通知書には有効期限があります。具体的には「審査基準日(決算日)から1年7カ月」です。ただ決算日の後で経審を受審するまでは、次のような手続きが必要です。
・確定申告(決算日から2カ月以内が期限)
・決算変更届(決算日から4カ月以内が期限)
結果通知書の有効期限を途切れさせないためには、これらの手続きを速やかに行うようにしましょう。
経審の点数を最適にするには、まず点数の構造を理解して審査項目ごとの評点算出方法や、点数の付けられ方を知る必要があります。その上でそれぞれの評点ごとに、効率的に点数アップが期待できる対策を取っていきましょう。
まずは即効性が高いW点を中心に点数アップを狙い、長期的な視点でZ点やY点などの点数アップに取り組むのがベストです。受審後に届いた結果通知書も、総合評定値(P)だけでなく各項目をくまなくチェックし、同業他社と比べて自社が足りない部分を明らかにしましょう。
結果通知書の有効期限が切れていると入札できないため、途切れさせないようそれぞれの手続きを速やかにするのも重要です。
御社の経審結果通知書を確認させていただき、「問題のあるポイント」や「足りない取り組み」を無料でアドバイスいたします。そのほかにも「経営事項審査をどうすべきか正確に理解したい」などといったお悩みについて解決策を提供いたします。
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