一般建設業許可の専任技術者の要件を緩和する省令案について

建設業法で定められている、営業所に常勤で配置させなければならない「専任技術者」の要件を緩和する省令案について、パブリックコメントの手続きがなされています。

国土交通省ホームページ

 

一般建設業の専任技術者となりえる要件は大きく分けて二つあります。29業種のうち担当する業種について国家資格等を取得していること、または実務経験を有していることです。

 

実務経験については、さらに学歴に応じて認められる基準が分かれています。大きく分けて、大学の指定学科卒、高校の指定学科卒、それ以外の3種類です。

 

指定学科というのがまた細かく分かれています。例えば「機械器具設置工事業」では、建築学、機械工学または電気工学です。詳しくは、国土交通省ホームページ

 

この指定学科卒業後の実務経験の扱いについて、今回の省令案では技術検定(施工管理技士試験)の合格者にからめて緩和をしようとしています。具体的には次のとおりです。

 

(省令案の抜粋)

 

(6)一般建設業許可の営業所専任技術者要件の緩和(施行規則第7条の3及び建設業法施行規則第七条の三第一号、第二号又は第三号に掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認める者を定める件(平成17年国土交通省告示第1424号)関係)現在、大学の指定学科(施行規則第1条の表に掲げる学科)卒業後3年の実務経験を有する者及び高校の指定学科卒業後5年の実務経験を有する者は、一般建設業許可の営業所専任技術者要件を満たすこととされている(法第7条第2号イ)。

以下の表に掲げる検定種目に係る一級の第一次検定又は第二次検定に合格した者は、大学において同表に掲げる学科を卒業した者と同様に、その合格後3年の実務経験を有することで、一般建設業許可の営業所専任技術者要件を満たすこととする。また、以下の表に掲げる検定種目に係る二級の第一次検定又は第二次検定に合格した者は、高等学校において同表に掲げる学科を卒業した者と同様に、その合格後5年の実務経験を有することで、一般建設業許可の営業所専任技術者要件を満たすこととする。なお、本要件緩和は指定建設業(法第15条第2号)及び電気通信工事業以外の建設業において適用することとする。

 

検定種目 土木施工管理・造園施工管理

指定学科 土木工学

 

検定種目 建築施工管理

指定学科 建築学

 

検定種目 電気工事施工管理

指定学科 電気工学

 

検定種目 管工事施工管理

指定学科 機械工学

 

 

以上が省令案の抜粋ですが、要は一級の施工管理(一次検定)に合格した方は大卒の指定学科と同じ、二級の施工管理(一時検定)に合格した方は高卒の指定学科と同じ扱いをしますよ、という内容です。

 

さきほどの機械器具設置工事業を例にとると、建築・電気・管の3つの施工管理が活用できることになります。二級の管工事施工管理技士(一次検定)に合格した方は5年の実務経験を積むと、機械器具設置工事業の専任技術者の要件を満たす、という具合です。

 

ただし現場の内容が「機械器具設置工事業に該当する工事」であることが実務経験の前提ですので、ご留意ください。

 

省令案の中に「本要件緩和は指定建設業(法第15条第2号)及び電気通信工事業以外の建設業において適用する」という文言がありますので注意が必要です。

土木工事、建築工事、電気工事、電気通信工事、管工事、鋼構造物工事、舗装工事、造園工事 の8業種については、今回の緩和の対象にならないということになります。

 

いずれにしても「専任技術者の要件=主任技術者の要件」となりますので、現場に配置できる技術者の選択肢が広がることになります。

 

新たな受注の可能性が広がり、また従業員様の負担軽減にも影響しますので、歓迎すべき省令改正案ではないでしょうか。