建設業の時間外・休日労働の規制(2024年問題)と事務作業の負担軽減について

 

建設業に残業(時間外労働)・休日出勤の規制強化が始まりました。

 

そもそも「どこからが残業・休日出勤になるのか?」という疑問のある方がいらっしゃるかもしれません。

 

基本は週40時間までのため、例えば月~金、8時~18時(休憩2時間含む)の勤務で制限いっぱいになります。この場合、土曜日の作業は休日出勤となり、36協定の提出と割増賃金の支払いが必要になります。

 

さらに残業・休日出勤が月45時間(年360時間)を超えることは、特別な事情が認められない限り許されません。違反すると罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)の対象になります。

 

また、準備、朝礼、片づけ、手待ちの時間は労働時間、現場への移動も社用車での乗合せとなると休憩時間にあてるのは難しいようです。こうしてみると法定労働時間内での作業量は限られてきます。

  

現場よりも事務作業の負担が一番の問題、というご意見もしばしば伺います。

 

現場に出ていても、一日平均で2時間以上、事務作業に費やす方が多いようです。

内容も多岐にわたり、設計積算、見積書、安全書類、外注資材手配、入出金管理、出面管理、写真整理など様々です。管理者の方に多くの負担が掛かっていることが想像できます。(参照:クラフトバンク総研

 

こうした事務作業はとても大切な仕事ですが、規模の小さな会社では経営者とその家族が担っていることも多く、報道等ではあまり表面に出てこない、対策も後回しにされがちな課題だと思います。

 

また従業員を自社につなぎとめることができずに経営破綻する会社が少数ながら増加しており、業種別では建設業が最も多く、設計や施工管理者など、業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員の離職により事業運営が困難になった企業が目立つ、という調査結果も出ています。(参照:帝国データバンク

 

今後は厳しくなる規制に合わせた就業規則等の整備、労働時間の管理をすることは必須の宿題として、さらに従来の業務のやり方(電話、手書き、紙ベース、二重手間、ブラックボックス化など)を見直し、事務作業の負担を軽減する取り組みをすることが、安定した事業運営のポイントといえるのではないでしょうか。

 

一方、事務負担の軽減をする努力が各事業者に求められるとともに、官公署やデベロッパーなど発注者側、更には私たち国民全般に求められるのが、建設工事における工期の適正化への理解と協力です。

 

コロナ禍以降、資材の高騰による影響で、私もお客様から「工期がどんどん短くなっている」という嘆きを耳にします。

 

また国が勧告している現行の「工期に関する基準」では猛暑日における作業への配慮がないとのこと。

近年、年間を通して施工業者が最も安全に気を遣うのが夏季の熱中症対策ではないでしょうか。

業界団体も早期の見直しを求めているようです。

 

 ※本記事は建設業に特化した行政書士による雑感です。

時間外労働、休日出勤に関する法的な判断やその対策については、労務の専門家である社会保険労務士さんにご相談ください。

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「みそら」は建設業に専門特化し、建設業の許認可等の申請について豊富な実績があります。建設業許可や経審はもちろん、工事前に行う「農地の一時転用」「道路使用許可」「道路占用許可」「入札参加資格申請」「建設キャリアアップシステム代行申請」など、建設業者様の事業に関わる申請業務を代行しております。申請業務に関わる事務作業の負担軽減はお任せください。

 

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