新しい融資の形(企業価値担保権)と建設業の相性

 

先ごろ閉会した国会で「事業性融資の推進等に関する法律」が成立しました。

これは新しい融資の形を推進する法律ですが、そのなかで注目したいのが「企業価値価値担保権」です。

これは企業が将来、キャッシュフローを含む事業全体の価値に対して担保をつける制度です。

(参照:(株)東京商工リサーチ2034.6.12  企業価値担保権で創造される「企業と金融機関の共通価値」 ~ 金融庁 和田良隆・信用制度企画室長インタビュー ~)

 

融資の担保といえば不動産が一般ですが、新しい法律では企業に収入をもたらす「競争力の源」を金融機関が融資の担保にするものといえます。

 

たとえば技術、ノウハウ、取引先との関係、建設業では建設業許可や入札参加資格なども企業の競争力の要素としてこの無形資産の評価に関係してくると思います。

 

この制度には、資産が少ない新規参入者や経営者保証が足かせになり事業承継や思い切った事業展開が進まない老舗企業の資金調達を後押しする目的があります。

 

私は、企業の競争力が、営業、技術、技能など「人の力」に紐づきやすい建設業にはこの制度がマッチしているように思います。

 

担保価値として評価され設定された事業は、企業の返済が滞った場合に一括して売却されることが考えられます。こうした考え方が世間に広く認知されれば、中小零細規模の建設業のM&Aが促進されることになるのかもしれません。

 

将来のために、建設業許可、経営事項審査、建設キャリアアップシステムのレベル向上判定など、競争力に結び付く第三者による客観的な評価を整えておくことも、経営の出口戦略として重要と思われます。