建設業許可業者にとっての電子帳簿保存法と工事請負契約書

 

正月がつい先日前のように思えますが、今年も早や6分の1を消化してしまいました。 

「光陰矢の如し」を実感するこのごろです。

 

年末年始を利用して、溜まった書類やデータを整理された方も多いと思います。

電子帳簿保存法は、帳簿・決算関係書類・取引先とやりとりした請求書・領収書などの書類を、データで保存するためのルールを定めた法律です。

今年から本格的な対応が必要になったためか、お客様から「工事請負契約書の保存」について質問をいただきました。

 

オンラインで受領した請求書や領収書を電子取引によるものとしてデータで保管をする、というのが電子帳簿保存の最も身近な例だと思います。

そこで「工事請負契約書もスキャンして電子データで保存しておけば良いのか?」という疑問が生じます。

 

ここで注意しておきたいのは、工事請負契約書を作成して保存する行為には、複数の法律が関わっているということです。

 

まず工事請負契約を取り交わすことは建設業法19条で当事者の義務とされています。

ここでは「署名又は記名押印をして(印紙を貼り)相互に交付する」ことが前提で、法令に定めた「電子署名」の方法を取る場合のみ、押印と印紙が不要になります。

単純に契約書(注文書と請書でも良いです)をファックスやメールでやり取りする方法は、建設業法では電子取引として認められていません。

 

また建設業法40条の3には営業に関する図書の保管義務があります。

ここでは契約書をスキャンして保存することを認めていますが、これはあくまで19条に定めた方式で契約書自体が有効に成立していることが前提です。

 

また印紙税法については、紙の契約書(または請書)に印紙を貼りスキャンをした後で契約書(請書)を破棄すると原本としての効力が失われますので、高額の印紙を貼る場合には注意が必要です。

 

同じように、万一訴訟になった場合に、スキャンしたデータは原本として扱われず、契約書(注文書・請書)の証拠としての効力は弱くなるようです。

 

改めて「建設業法令で定める電子署名を使った取引」で工事請負契約を取り交わす対応に移行するのが良いと思います。

長い目でみれば事務作業の負担と法的なリスクの両方を低減できるのではないでしょうか。

 

 

関連記事:工事請負契約書にはいくらの印紙を貼るのか・契約書に記載しなければならない項目

 

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